TIPS 2016年3月8日

SAMマイコンのDPLLとDFLLの違いと使い分け

DPLL(Digital Phase Lock Loop)とDFLL(Digital Frequency Lock Loop)は、どちらも低い周波数(32KHzクリスタル等)から48MHzの高速クロックを生成するモジュールです。

この違いについて、SAM Dのデータシートからまとめてみます。

なお、DFLLにはオープンループとクローズドループの2種類がありますのでDFLL(Open), DFLL(Closed)とします。オープンループはフィードバックをかけずにレジスタの値によって48MHz付近を校正するモードで、クローズドループはリファレンスとなる信号に近づけるように自動的にフィードバックがかかるモードです。

比較

・ジッタ: DPLLが3%程度、DFLL(Open)が2%程度、DFLL(Closed)が0.5%程度です。ジッタを減らすならDFLL(Closed)

・スタートアップ時間: DPLL(32K入力)が1300usec、DPLL(2M入力)が25usec。DFLL(Open Loop Mode)は8usec、DFLL(Closed)は200usecです。

・消費電流: DPLLが400uA、DFLLも400uA程度で、あまり変わりません。

・出力周波数: DFLLは48MHz固定. DPLLは48MHz~96MHzの任意の周波数に設定可能。

・入力周波数: DFLLは33KHzまで. DPLLは32KHz~2MHzまでに対応。

高速なシステムクロックが欲しいならDFLL

高速なシステムクロックが目的であれば、DFLLのClosed Loop Modeによって48MHzを生成する方法がよさそうです。DFLLの入力となる基準クロックについては、クリスタルの精度が必要なければ内蔵32Kオシレータ、クリスタルの精度が必要であれば外付けの32.768KHzクリスタルから生成します。

周辺回路用に48MHz以上のクロックが必要ならDPLL

MCU外のペリフェラルを高速動作させるために48MHz以上の高速なクロックを出力したい場合、DPLLを使います。基準クロックはDFLLと同じく内蔵/外付けの32KHzを利用できます。また、データシート(Table 34-43. FDPLL96M Characteristics)によれば、入力は32KHzよりも2MHzにしたほうがジッタを低く抑えられます。もし外付けクリスタルを利用した2MHzが用意できる場合には、それを利用するほうがよいでしょう。

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