ソーラーパネルからバッテリーを充電するために必要なチャージコントローラ。今回は、意外に知られていないチャージコントローラの基本機能について学びましょう。
バッテリーに直接ソーラーパネルをつけてはダメ?
「バッテリーを充電したいけれど、チャージコントローラは高いし、ソーラーパネルを直接つなげてみよう!」
ちょっとまって、あぶない!
ソーラーパネルにバッテリーを直結すると、過充電により大切なバッテリーを劣化させるだけでなく、火災の危険があります。
そんな直接つないだ時に起きる問題を解決するのがチャージコントローラです。
過充電を防止する
鉛蓄電池は、電圧に上限があります。メーカーや電池の種類により異なりますが、多くの場合、14V~15V程度です。もしバッテリーにソーラーパネルを直結すると、満充電になっても電圧が上がり続けてしまいます。
最大電圧を超えると、電池の正極が劣化していきます。正極が劣化すると電池の内部抵抗が上昇し、バッテリーのパワー(一度に流せる最大電流)が低下するほか、容量が減少して、やがて寿命を迎えます。
チャージコントローラは、バッテリーが最大電圧になるとソーラーパネルとバッテリーの回路を自動的に切り離し、過充電を防止します。
過電流を防止する
次に過電流についてです。 鉛蓄電池には電圧の最大値のほか、充電時に流すことができる電流の最大値が決められています。一般的に、小さなサイズのバッテリーは小さな電流で充電しなければなりません。指定された最大電流を超えると、充電時に発生するガスが増え、最悪の場合、膨張・爆発につながり大変危険です。
通常は、ソーラーパネルを選定する際に、ソーラーパネルの短絡電流がバッテリーの最大充電電流を上回らないようにします。
やむを得ずバッテリーの電流値よりも短絡電流が大きいソーラーパネルしかない場合でも、最大電流を制限する機能を持つチャージコントローラを利用すれば大丈夫。例えば東京デバイセズのIW1608は最大電流を5Aに制限します。
※最大電流を制限しないチャージコントローラもあります。過電流保護があるかどうかは仕様をご確認ください。
逆流を防止する
次に問題となるのが逆流です。 夜になるとソーラーパネルの電圧が下がり、バッテリーの電圧より低くなります。 すると、バッテリー側からソーラーパネル側に電流が逆流します。
ソーラーパネルは電気的な素子としてはダイオードと等価です。ダイオードは、理論的には、一方向にしか電流を流しません。しかし、現実のダイオードは逆方向にわずかに電流を流してしまう特性があります。これは漏れ電流と呼ばれ、ソーラーパネルにも同じ特性があります。しかも、ソーラーパネルの漏れ電流はダイオードよりもとても大きく、バッテリーに貯められた電力をどんどん放電していきます。
チャージコントローラは、常にソーラーパネル側とバッテリー側の電圧を比較して、もしソーラーパネル側の電圧が低くなった場合には回路を切断し、バッテリーが無駄な電力を消費するのを防止してくれるのです。