技術解説 2016年1月3日

負荷の大きさに応じた二次電池・蓄電容量の選定方法

システムを二次電池で運用するためには、適切な蓄電容量を決定する必要があります。少なすぎれば必要な運用時間を満たせませんし、大きすぎればコスト・サイズ・重さの観点で無駄が生じます。

負荷に必要な電力を見積る

負荷に必要な電力(エネルギー)は、その負荷電圧をV、負荷電流をA、運用したい時間をTとしたとき、

W = V * A * T

により求めることができます。

例えば、5V 0.1Aの負荷を10時間運用したい場合には、5V * 0.1A * 10h = 5 Wh となります。単位はワット時です。

太陽光発電などの蓄電システムを検討する場合には、少なくともこの容量以上の蓄電素子を選定しなければなりません。

また、二次電池の種類によっては完全放電すると使えなくなる電池もあるため、一般的には負荷容量ギリギリで設計することはありません。例えば鉛蓄電池では負荷容量の2倍-3倍程度を見積もって選定します。

以下に、蓄電の規模別に、よくあるアプリケーションや電池の選定についてまとめます。

0.1Wh以下

0.1Whは、5V 1mAを20時間連続して放電できるエネルギーに相当します。この規模では、連続ではなく間欠的に起動するアプリケーションも多く、その場合には数日~数週間の運用が可能です。
蓄電素子としては超小型の二次電池セルのほか、スーパーキャパシタが用いられます。

1Wh

1Whは、5V・10mAを20時間連続して放電できるエネルギーに相当します。単4ニッケル水素電池に換算して1本分に相当します。この規模はセンサ+省電力無線ノードなどによく利用されます。化学電池のほか、スーパーキャパシタによる蓄電も検討されます。間欠駆動すればさらに長い期間の運用も可能です。

10Wh

10Whは、5V 100mA換算で20時間の放電が可能です。この規模は携帯電話やスマートフォン、ハンディタイプの測定器など、可搬性のある機器のサイズのおおよその上限になります。蓄電素子としてはリチウムイオンやニッケル水素二次電池がよく利用されます。

100Wh

100Whは、5V 1Aで20時間放電できるエネルギーに相当します。この規模になると大型のリチウムイオンやニッケル水素二次電池のほか、コストの安い鉛蓄電池もよく利用されます。電力密度の高いリチウムイオン電池でも0.5kg程度の重さになるため、据え置き型の機器となる場合がほとんどです。

1KWh

1KWhは、テレビやノートパソコンなど100W近い負荷を10時間程度連続で運転できる規模です。災害用のポータブル非常用電源などに利用されます。大型の二次電池が利用されます。リチウムイオン電池では5Kg程度、鉛蓄電池では数十kgにもなりますので、手で持ち運ぶには難しい大きさになります。

10KWh以上

10KWは一般家庭で一日に利用される電力の目安です。また、電気自動車の蓄電容量も数十キロワットの規模です。この規模の蓄電システムは大電流や高圧として取り扱われるため、専用の電池バンクにより制御されます。

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