技術解説 2015年3月26日

4端子法の原理: なぜ内部抵抗の計測には4端子が必要なのか

東京デバイセズIW7807では、バッテリーの内部抵抗を計測するために4本のプローブを使用します。この「4端子法」は、プローブの持つ微小な抵抗の影響を回避して内部抵抗を計るために有効です。それでは、なぜ4本の端子が必要なのでしょうか?

IW7807は電池に電流を流して電圧降下を計測している

IW7807は電池に小さい交流電流を流します。電池は内部抵抗を持ちますので、電流を流すと内部抵抗の分だけ電圧が降下します。したがって、どの程度電圧が降下したかが分かれば、内部抵抗値を求めることができます。

理論的には2本のプローブで内部抵抗を計測できる

電流を流して、電池両端の電圧を測るのですから、2本のプローブで良さそうに思います。2本のプローブを電池につないで電流を流して、プローブ両端の電圧降下を測定する方法です。しかしながら、実際には上手く測ることができません。

なぜならば、プローブ自体がわずかながら抵抗値を持つためです。2本で計測する場合には、測定電流をプローブに流しますので、プローブが持つ抵抗値によって、プローブの長さの分だけ余計に電圧降下が発生します。

一般的に電池の内部抵抗は非常に小さい値ですので、プローブが持つわずかな抵抗値でも大きな誤差となります。さらに、プローブと計測器を接続するコネクタには接触抵抗があり、コネクタの接触部分でも電圧降下が発生します。

電流を流す端子と電圧を計る端子を別にする

そこで、プローブの持つ抵抗や接触抵抗の影響を排除するために「4端子法」が登場します。4端子法は、電流を流すためのプローブとは別に、電圧を測定するための端子を別に用意する方法です。

まず、電流を流すプローブにより、電池に測定電流が流れます。このとき、
①計測器から電池の+極の間で+側プローブ分の電圧降下が生じ、
②電池本体の両端に内部抵抗による電圧降下が生じ、
③さらに電池の-極と計測器の間で-側プローブ分の電圧降下が生じます。

ここで、電圧降下を計測するプローブを電池の両端に接続することで、②の電圧のみを計測することができます。(電圧降下を計測するプローブには電流が流れないため、プローブによる影響が生じないことに注目してください)

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